採用AIエージェントとは|特徴や使い方、種類を学ぶ

採用AIエージェントとは?
採用AIエージェントとは、自律的に計画を立て、さまざまな採用業務を行うAIを使ったシステムのことです。求人の作成や、スカウトメッセージ送付、候補者の選考といった採用に必要な業務を遂行することができます。
採用AIエージェントを活用することで、企業は採用業務の負担を大きく削減し、少数チームでも良い人材を多く採用することが可能になります。

そもそもAIエージェントとは?生成AIとの違い
AIエージェントとは、目的に対して、自律的に計画を立てて実行できるようなAIのシステムです。
従来の生成AIとの違いは、質問に「答える」だけでなく、自律的に「行動」してタスクを実行できる点です。
つまり、採用AIエージェントは従来の生成AIとは異なり、質問に「答える」だけでなく、AI自身が外部のツールと連携して採用業務を「完了する」ことができます。
注目されている理由
実は採用AIエージェント自体は、以前からその有効性が注目されており、従来の11倍のスピードで採用選考が行えることが示されていました。(参考)ただ、実用化がまだ難しく、話題にはなっていませんでした。
2025年7月には、OpenAI社が「ChatGPT Agent」を発表し、AIエージェントが実務で活用できるレベルに進化していることが明らかになりました。
これにより、特定の業務に特化したAIエージェントの開発が進み、実用的な採用AIエージェントが増えていきました。米国の「Paradox」や「Eightfold AI」といった採用AIエージェントが実際に使われるケースが増えたことで、より大きな注目を集めるようになりました。

採用AIエージェントでできること|主な特徴と機能
採用AIエージェントでできることは、「様々なツールを組み合わせて、採用業務を完了すること」です。目的のために必要な行動やツールを「自律的に」選択肢して、業務を行うことができます。
主な機能
採用AIエージェントの機能は、主に5つに分類されます。
- 採用戦略と計画の策定
- 採用の上流工程を実行します。採用要件の策定や、ペルソナの設計を行います。現在の転職市場の情報を取り入れながら、最適な採用手法を選定します。
- 母集団形成(求人やスカウト)
- 求人の作成や更新を行います。スカウトの対象となるような候補者を自律的にピックアップし、メッセージを送付します。その際、外部のさまざまな求人サイトや採用管理ツールと連携をして自律的に行動します。
- 候補者とのコミュニケーション
- 応募があった候補者との連絡を行います。面接官との日程調整を行います。候補者から質問があった場合に回答することもできます。迅速な実行により、採用のリードタイムを大幅に短くすることができます。
- 候補者の選考
- これまでのデータに基づき、自律的に書類選考を行ます。また面接では、面接官が効果的な質問や見極めができるようサポートを行います。場合によっては、AIエージェント自身が面接の実行までを行うケースもあります。
- 内定後のフォロー
- 内定者が入社を決めてくれるよう、オファーの設計や文章作成を行います。候補者に定期的な連絡を行うことで入社までフォローします。
このような、採用戦略策定・母集団形成・候補者への連絡・選考・フォローといった業務を「自律的」に行えることが、採用AIエージェントの特徴です。
採用AIエージェントのメリットと注意点
採用AIエージェントを活用するメリットは、5つ挙げられます。

5つのメリット
- 採用業務の効率化とコスト削減
- 定型業務や、連絡・調整を自動化し、採用業務を大幅に効率化できます。
- 複数のツールの統合活用
- 外部のツールやATSと連携して自律的に動くため、複数の採用チャネルの最適な選定と活用ができます。
- 採用リードタイムの短縮
- 応募対応から選考、内定までの流れを迅速化し、リードタイムを大幅に短縮。採用の機会損失を減らします。
- 候補者体験(CX)の向上
- 迅速な対応に加えて、採用担当者が候補者ひとりひとりと向き合う時間を増やせるため、候補者の満足度を高めます。
- 母集団形成と見極めの精度向上
- 候補者のピックアップから選考までを、データに基づき最適化し、より最適な人材の採用を実現できます。
このようなメリットがあるため、採用AIエージェントを使うことで、より少人数のチームで効率的に、優秀な人材を多く採用することができます。
使い方の注意点
チューニングの必要性
例えば、ハルシネーション(幻覚)など、生成AIが事実とは異なる情報を出力してしまうリスクもあります。採用と生成AIの両方に深く精通したメンバーが適切にAIをチューニングする必要があります。
プライバシーとセキュリティ対策
採用は、多くの候補者の個人情報を扱う業務です。プライバシーの漏洩がないよう、適切なベンダーに相談しながら取り入れていくことが重要です。
採用AIエージェントの事例と主なサービス
採用AIエージェントの事例
米国の大手金融機関、モルガン・スタンレー社は、採用プロセスにEightfold AIを導入。採用リードタイムの57%削減に成功しました。(参考)

日本国内の採用AIエージェントのサービス代表例
- PeopleX「HR Operator」
- 人事の全ての業務に対応するAIエージェントです。人事評価やマネジメントにもAIエージェントを活用したい企業にもおすすめです。(参考)
- 人事の全ての業務に対応するAIエージェントです。人事評価やマネジメントにもAIエージェントを活用したい企業にもおすすめです。(参考)
- YOUTRUST「HR Operator」
- キャリアSNSであるYOUTRUSTの中で使えるAIエージェントです。タレントの自動リストアップにより、スカウト活動をサポートしてくれます。(参考)
- キャリアSNSであるYOUTRUSTの中で使えるAIエージェントです。タレントの自動リストアップにより、スカウト活動をサポートしてくれます。(参考)
- Synayaka「しなやか採用AI」
- 採用業務に特化したAIエージェントです。採用の上流工程から、求人作成やスカウト、候補者への連絡まで対応。企業ごとにカスタマイズすることができるため、まずは特定の業務だけに絞って試すことも可能です。(参考)

採用AIエージェントの基本的な使い方
- 対象の採用業務の範囲と目的決め
- 幅広い採用業務の中で、何を特に改善したいのかを決める。
- 小規模導入
- まずは一部の業務に小さく取り入れて部分的に最適化
- 機能拡張
- API連携やワークフロー統合。外部ツールとの連携を深める。
- 継続運用
- チューニングを行い、AIの精度を高めながら運用していく
がむしゃらに採用AIエージェントを使い始めるのではなく、段階的に取り入れていくことをおすすめします。
採用AIエージェントの今後
現在はまだ、採用AIエージェントの活用は業務の部分的なところに留まっています。しかし2025年には、複数の外部ツールと連携ができるAIエージェントが急増してきました。
将来的には、人事が細かい業務を実行することはなくなり、候補者ひとりひとりと向き合う人間的な業務に集中できるようになると考えられます。また、人事は複数のAIエージェントを動かす、監督者兼、意思決定の責任者としての役割に移行していくと考えられています。(参考)
まとめ
採用AIエージェントは、あらゆる採用業務を「自律的に」動かせる、生成AIの進化版です。
適切な業務から取り入れていくことで、現時点でも大幅に採用業務を効率化することができます。
採用AIエージェントの導入、ご相談はこちらよりお問い合わせください。