LinkedIn採用で優秀人材を見逃さない|費用と活用法を解説

1. LinkedIn採用とは?|特徴と他媒体との違い
LinkedInはどんな人が使っている?(ユーザー層・登録職種)
LinkedInは世界200カ国以上で9億人以上のビジネスパーソンが登録するグローバル特化型のビジネスSNSです。日本国内のユーザー数は300万人超(2023年時点)とされており、その多くが中堅〜ハイクラス層のビジネス人材。特に、以下のような層が多く見られます
- 外資系や大手企業に勤めるビジネスパーソン
- コンサル、IT、スタートアップ業界の実務層
- 海外志向の強いグローバル人材、バイリンガル
- CxO、マネージャー、部長職以上のハイクラス人材
つまり、「転職サイトに登録していない層」「転職潜在層」へのアプローチが可能な点が最大の特徴です。
他の採用媒体との違いとは?(ビジネスSNSならではの特徴)
LinkedInはいわゆる「求人媒体」ではなく、ビジネスネットワーキングのためのSNSです。そのため、以下のような違いがあります
特徴 | 一般的な求人媒体 | |
---|---|---|
ユーザー層 | 中堅〜ハイクラスの実務層 | 初級〜中堅の転職希望者 |
転職温度 | 潜在層(今すぐ転職ではない) | 顕在層(すぐ転職したい) |
アプローチ方法 | スカウト/ネットワーク構築 | 応募待ち(受動型) |
コンテンツ機能 | 投稿・コメント・企業ページ | 求人掲載が中心 |
「待ちの採用」から「攻めの採用」へ──この切り替えが必要な今、LinkedInは候補者と先に出会うための採用プラットフォームとして注目されています。
ダイレクトリクルーティングとの親和性の高さ
近年、日本でもビズリーチやdoda Recruitersなど、ダイレクトリクルーティングが主流になりつつあります。その中でもLinkedInは、以下の点で特に相性が良い採用チャネルといえます。
- 詳細な職務経歴とスキルが可視化されたプロフィール
- 検索条件によるピンポイントな人材抽出
- フォロー、接点、投稿によるパイプライン構築の余地
「求人広告を出したが応募がない」「ハイスペック人材が獲得できない」といった課題がある企業ほど、LinkedInを活用することで採用活動の打ち手が一気に広がります。
2. LinkedIn採用が向いているポジションと企業
CxOクラスやハイクラス人材に強い理由
LinkedIn採用が特に力を発揮するのが、CxO(CEO・CTO・COOなど)や経営幹部、部長職以上のハイクラス人材の採用です。
このレイヤーの人材は、一般的な求人媒体には登録しておらず、能動的に転職活動をしていない“転職潜在層”であることがほとんど。
しかしLinkedIn上では、自身のキャリアを継続的に発信・更新しているため、検索やスカウトを通じてプロフィールベースで直接アプローチできるのが最大の強みです。
特に以下のようなニーズには適しています
- 新規事業責任者や執行役員候補をピンポイントで探したい
- IPO準備中で、経理・法務・人事のハイレイヤーを採用したい
- 競合他社での経験がある即戦力人材と接点を持ちたい
グローバル人材やバイリンガル採用にも有効
LinkedInは海外ユーザーが圧倒的に多く、日本語以外の言語でもプロフィールが整備されているため、海外在住者や外国籍のバイリンガル人材にもリーチできます。
たとえば
- 海外進出を見据えたグローバルマーケ担当
- 外資系企業との取引を担うセールス人材
- 日本語+英語対応が可能なカスタマーサクセス担当
こうしたポジションの候補者は、国内求人媒体ではなかなか見つかりません。
LinkedInなら国籍や居住地にとらわれない採用活動が可能です。
LinkedIn採用に向いている企業の特徴(フェーズ・課題)
すべての企業にとってLinkedIn採用が最適とは限りません。では、どういった企業がこのチャネルと相性が良いのでしょうか?主な特徴は以下の通りです
向いている企業の特徴 | 理由 |
---|---|
スタートアップ・急成長企業 | 知名度や広告予算が限られる中、代表自らスカウトできる |
経営幹部や専門職などピンポイント人材を採用したい企業 | 一般媒体では母集団形成が難しい |
グローバル事業を展開・準備している企業 | 海外・多言語人材への接点を持てる |
採用とブランディングを同時に進めたい企業 | 企業ページや投稿で「伝える力」が差別化に |
つまり、“求人媒体に頼らず、自社から仕掛けていきたい企業”にとって、LinkedInは最強の攻めの採用手段です。
3. LinkedIn採用で無料でできること|無料運用の使い方
無料アカウントでできる基本機能とは?
LinkedInは、有料プランを利用しなくても、無料アカウントで採用活動の入口をつくることが可能です。具体的にできることは以下の通りです
- 自社の企業ページの作成、運用
- 投稿機能を活用した広報、ブランディング
- 候補者プロフィールの検索、閲覧(制限あり)
- 一部ユーザーへの接続リクエストとメッセージ送信
- 求人ページの作成と公開(LinkedIn内の無料機能)
このように、無料でも「情報発信+求人掲載」は可能であり、初期費用をかけずに採用チャネルを開拓できる点は大きな魅力です。
採用に活かせる無料機能の具体的な使い方
無料のLinkedInアカウントでも、工夫次第で十分に採用につなげることができます。たとえば以下のような活用法があります
- 代表者や人事担当の個人アカウントを充実化し、接点をつくる
→ 候補者が見るのは求人ページだけでなく「誰が声をかけているか」です。 - 自社のビジョンや働き方を投稿で発信
→ 投稿はフォロワー以外にも届き、ブランディング効果があります。 - プロフィール検索で潜在的な候補者をチェック
→ 「閲覧済み通知」が候補者側に届くため、間接的な接点づくりに。 - 自社社員がつながっている優秀人材を確認し、紹介を依頼する
→ リファラル採用(社員紹介)の下地としても活用できます。
無料活用の限界と、有料プランへの切り替えタイミング
とはいえ、無料アカウントには検索結果の閲覧制限・スカウト送信数の制限があるため、以下のようなフェーズでは有料プランへの切り替えを検討するのが現実的です
タイミング | 有料プラン検討の目安 |
---|---|
本格的にダイレクトリクルーティングを始めたい | スカウト送信や検索の上限が足りないとき |
複数職種で同時並行に人材を探したい | タレントプールの設計が必要なとき |
効果測定やチーム連携で運用を強化したい | 管理者アカウントや分析機能を使いたいとき |
次章では、LinkedInの有料プランの種類と費用感、その選び方について詳しくご紹介します。
4. LinkedIn採用の費用とプラン比較|有料プランの使い分け
各プランの違い|Premium Career・Business・Recruiter
LinkedInでは、採用活動に活用できる有料プラン(Premiumプラン/Recruiterプラン)が複数用意されています。それぞれの概要と特徴は以下の通りです。
プラン名 | 月額料金(参考) | 主な機能と特徴 |
---|---|---|
Premium Career | 約3,000円前後 | ・「誰がプロフィールを見たか」の確認 ・就職/転職支援ツールの強化 |
Premium Business | 約6,000円〜 | ・検索機能の強化 ・InMail(スカウトメール)送信数アップ ・より高度な分析 |
LinkedIn Recruiter Lite | 約15,000円〜 | ・最大30通/月のInMail送信 ・高度な検索フィルター ・候補者管理機能 |
LinkedIn Recruiter | 要問い合わせ | ・大規模採用向け(InMail150通/月〜) ・ATS連携 ・チームでのタレントプール管理が可能 |
※上記はあくまで目安。為替や契約形態によって変動します。
Recruiterライセンスの費用感とできること
採用活動に本格的に使うなら「LinkedIn Recruiter Lite」か「LinkedIn Recruiter(無印)」がメイン選択肢になります。
中でも中小〜スタートアップ企業ではRecruiter Lite(リクルーターライト)の利用が一般的です。
Recruiter Liteでできること(一例):
- スカウトメール(InMail)の送信(最大30通/月)
- 検索フィルター:職種、経験年数、業界・キーワードなど
- 候補者の管理、フォルダ分け
- 閲覧制限のない詳細プロフィール表示
これだけの機能を月額1.5万円程度で利用できるのは、他のダイレクトリクルーティングサービスと比べてもコストパフォーマンスが高いといえます。
有料プランの選び方とおすすめパターン
「どのプランを選べばいいかわからない」という方向けに、目的別のおすすめパターンを整理しました。
利用目的 | おすすめプラン | 理由 |
---|---|---|
個人での情報収集や転職のきっかけづくり | Premium Career | コストが安く、転職支援ツールも充実 |
採用兼広報としての発信・初期接点の構築 | Premium Business | 投稿分析や閲覧機能が強化され、スカウト前の準備に有効 |
少人数採用・ピンポイントスカウトを行いたい | Recruiter Lite | コストを抑えて実践的なダイレクト採用が可能 |
大量スカウト・多職種対応・チーム運用したい | LinkedIn Recruiter(無印) | 機能も多く、採用チームでの連携やATS連携が可能 |
LinkedIn採用は、「採用費用を抑えつつも、質の高い人材にリーチしたい」企業にとって、非常に理にかなった投資です。
次章では、LinkedIn採用を成功させるための運用ポイントを具体的にご紹介します。
LinkedInについて
https://www.linkedin.com/help/linkedin/answer/a544728/-linkedin-linkedin-premium-?lang=ja
5. LinkedIn採用で成果を出すための運用ポイント
タレントサーチの精度を上げるプロフィール設計
LinkedIn採用において成果を左右するのは、「どれだけ精度の高い検索とスカウトができるか」に尽きます。
その第一歩が自社プロフィール(企業ページ・担当者アカウント)の最適化です。
候補者の目に映るのは、スカウト文面よりも「誰が」「どんな会社から」声をかけているのか。
以下の項目を整備するだけで、返信率が大きく変わります。
- 代表者や人事担当の顔写真・肩書き・自己紹介文の整備
- 企業ページでビジョン・文化・社風が伝わるコンテンツの発信
- 発信者の過去投稿が“候補者目線”で共感されるか
これにより、候補者側の「信頼できる会社なのか?」という不安を払拭しやすくなります。
スカウト送信時に重視すべき3つの視点(文面・タイミング・接点)
LinkedIn採用では、スカウトメール(InMail)の文面品質とタイミングが命です。
以下の3点を意識することで、返信率が大きく向上します。
① 文面:共感、理由、余白のある誘い方
- 「なぜあなたに声をかけたのか」を1〜2文で明確に
- 転職前提ではなく「まずは情報交換から」で余白をつくる
- 自社の魅力は“伝える”より“感じさせる”設計に
② タイミング:週明け朝 or 木曜夕方が狙い目
- ビジネスSNSであるため、平日午前中の方が既読率が高い
- 月末よりも月初〜中旬の方が心理的余裕がある傾向に
③ 接点:接続リクエストや投稿コメントから事前接触
- いきなりのスカウトより、「一度プロフィールを見てくれていた」
- 投稿にリアクションがあると返信率が約1.4倍(Synayaka調査)
企業ページ・個人アカウントの連動でブランディングを強化
LinkedInは採用チャネルであると同時に、採用ブランディングの武器でもあります。
企業アカウントで「ビジョンやカルチャーを伝える投稿」を定期的に行い、そこに社員のいいね・コメント・シェアが加わることで、候補者のタイムラインに自然に“温度感のある情報”が届きます。
特におすすめの投稿内容
- 代表やメンバーによる仕事への想い・価値観の発信
- 募集中のポジションに関連する取り組みや裏話
- オフィス風景や社内イベントの写真・動画
このように、候補者に「ここで働いたらどんな空気感なのか」が伝わると、スカウトの効果は何倍にもなります。
6. まとめ|LinkedIn採用を使いこなす企業が勝つ理由
近年の採用市場は、「求人広告を出せば応募が来る」という時代から、「企業自らが候補者に会いにいく」時代へと完全にシフトしています。
その中で、LinkedIn採用は「攻めの採用」を実現するための最も現実的な武器のひとつです。
無料と有料の賢い使い分けが鍵
初期段階では無料アカウントから運用を始めることもできますが、本格的なスカウト活動やタレントサーチには有料プランの導入が不可欠です。
費用対効果を見極めつつ、「無料→有料」の移行設計を戦略的に行うことが成果への第一歩です。
攻めの採用=営業的アプローチの実践
LinkedIn採用は、いわば「営業活動の採用版」
- 自社の魅力を伝えるコンテンツ設計
- 候補者の心理を読むコミュニケーション
- スカウト送信から面談までのリード獲得プロセス
これらすべてにマーケティングと営業の視点が求められます。
だからこそ、従来の“人事担当者”だけでなく、経営陣や現場リーダーが主体的に動ける組織が強いのです。
今のうちにLinkedIn運用を始めるべき理由
LinkedInはまだ日本では本格普及しておらず、活用している企業は一部に限られています。
だからこそ、「今」始めれば、競合より先にハイクラス人材やグローバル人材と接点を築けるチャンスです。
今後、LinkedIn採用は確実に“当たり前”になる未来が見えています。
その前に、“攻めの採用”を仕組み化できる企業が、採用市場で勝ち続けるのです。